カプコン|世界中のゲームファンがアクセスする共通アカウントサービス「CAPCOM ID」の安定化・高品質化を実現

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利用用途

カプコンが提供するゲーム・各種WEBサービスのアカウントを管理する共通基盤「CAPCOM ID」をモニタリングし、高信頼の認証サービスと快適なユーザー体験を実現するためにNew Relic Oneを活用

New Relicの選定理由と成果

  • 複数のアカウント管理を統合する新サービス「CAPCOM ID」の開始に伴うモニタリング強化
  • 認証サービスの安定的な運用を通じて、ゲームやWEBサービスのユーザーにより良い体験を提供
  • パフォーマンスボトルネックの発生箇所と原因の特定、問題解決を迅速化
  • インフラ・開発・マーケティングなど部門間の「共通言語」となるダッシュボードを整備

モンスターハンター、バイオハザード、ストリートファイターなど―数多くのミリオンタイトルを擁するカプコンがグローバルでビジネス成長を加速させている。原動力はオンラインで配信されるデジタルコンテンツだ。コンシューマーゲームにおけるカプコンの独創的なコンテンツは、世界中に熱狂的なファンを生み出し、複数のタイトルが映画化されるなど大きな広がりを見せている。デジタル基盤室 インフラ基盤チーム チーム長の目黒恵氏は次のように話す。

「市場のグローバル化とデジタル配信が大きなビジネスチャンスを生み出しています。私たちは2020年10月に共通アカウントサービス『CAPCOM ID』をスタートさせ、オンラインゲーム向けの『CAPCOM ONLINE GAMES ID』と、ECサイトなどの各種WEBサービスで使用してきた『CAPCOMアカウント』をひとつに統合しました。お客様の利便性を高めるとともに、お客様との関係性をさらに強化してライフタイムバリューを最大化することが目標です」

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新しい共通アカウントサービス「CAPCOM ID」は、数千万におよぶ世界中のユーザーがアクセスする統合認証基盤としてのミッションを担う。カプコンが提供する様々なサービスの「起点」となる本システムは、サービス停止や遅延が許されない。

「世界規模でユーザーが拡大する中、安定的にユーザー認証とアクセス制御を実行するために、性能と信頼性の要件をしっかりと精査し、スケーラビリティを重視したインフラ設計としました。パブリッククラウド上に基盤を構築したこと、様々な機能要件に柔軟に対応できるようマイクロサービスアーキテクチャーを採用したことが大きな特徴です」とCAPCOM IDのインフラ設計・構築をリードした井口拓哉氏は話す。

カプコンと世界中のゲームファンを結ぶ共通アカウントサービス「CAPCOM ID」――その安定的なサービス提供を支えるために採用されたのは、オブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームNew Relic Oneである。

マイクロサービス化された環境の可視化

カプコンのCS制作統括では様々なゲームタイトルの制作に必要な技術要素を集約しており、その中にあって、デジタル基盤室 インフラ基盤チームは「CAPCOM ID」をはじめとする共通基盤システムの設計・開発・運用を担っている。New Relic Oneの導入をリードした平山慧氏は次のように話す。

「統合前のアカウントシステムはオンプレミスに構築しており、Zabbixを使用して主にインフラ視点で監視を行ってきました。統合認証基盤であるCAPCOM IDでは、性能要件をより厳格化するとともに、サービス品質を定量的に把握することを要件に加えています。私たちがNew Relic Oneに最も期待したのは、アプリケーションパフォーマンス管理(APM)によるユーザー体験の可視化です」

New Relic Oneは業界を代表するオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームであり、デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にする。アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する機能は業界随一との評価を得ている。

「New Relic Oneは、私たちが使っているPython、Go、Javaなどの幅広い言語に対応しており、導入・セットアップが非常に容易であることを評価しました。クラウドのリソースや各種サービス機能、APIの通信もモニタリングでき、しきい値に基づくアラート設定も柔軟に行えます。ダッシュボード上でメトリクスを掘り下げていくことでより詳細な情報が手に入るため、問題発生時の原因特定と解決も迅速化できると期待しました」(平山氏)

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New Relic One のAPMは、Webアプリケーションのレスポンスタイム、スループット、エラー率、トランザクションなどを可視化するとともに、ユーザー体験に影響するコードやコード間の依存関係をリアルタイムで特定する。こうしたメトリクスは「ユーザーの体感」として解釈できる。マイクロサービス化されたCAPCOM IDの環境では、フロントとバックエンド間の通信がAPMを通してひとつのプロセスとして見通せることも重要だ。

「CAPCOM IDでは、フロントからバックエンドまでクラウド上の各種PaaSを利用してアカウントサービスを構築しています。ユーザーからのリクエストに対してマイクロサービスがCAPCOM IDの複数のAPIを呼び出す仕組みを採っており、こうした複雑な環境でのパフォーマンスボトルネックの特定には、New Relic OneのAPMが大きな威力を発揮します」(目黒氏)

インフラとアプリ開発、両チームの共通言語に

2020年初頭に立ち上げられたCAPCOM IDの構築プロジェクトは、計画通り同年10月に共通アカウントサービスをスタートさせた。New Relic Oneは、目黒氏が率いるインフラ基盤チームとともに、アプリケーション開発チームでも活用されている。

「どこの国や地域からのアクセスが多いか、ログインに遅延が発生しているのはどこか。スロークエリは発生していないか、時系列ではデータベースの負荷状況はどうか―New Relic Oneのダッシュボードをインフラチームと開発チームで共有し、認識を合わせながらスピード感をもって開発・改善を進めてきました」と井口氏は話す。

「New Relic Oneのダッシュボード上でボトルネックの発生箇所と原因を速やかに特定できるため、問題解決が大幅にスピード化されました。原因がコード上にあるような場合、従来の環境では原因特定から解決まで数日を要することもありましたが、New Relic Oneを利用することで数時間単位にまで短縮できています。インフラとアプリ開発、両チームの『共通言語』ができたことでコミュニケーション効率が改善された効果が大きいですね」と平山氏も評価する。

New Relic Oneのダッシュボードは、NRQL(New Relic Query Language)を使って柔軟にカスタマイズできる。インフラ基盤チームでは、新しいゲームやサービスを立ち上げる際に、コンテンツ開発チーム、システムチーム、イベントやキャンペーンのマネージメントチームまで、必要なメトリクスと適切な粒度を適用したダッシュボードを目的やチームごとに作り分けているという。

より柔軟に変化に適応できるアーキテクチャーへ

インフラ基盤チームは、共通アカウントサービス「CAPCOM ID」においてクラウド移行とマイクロサービス化を達成したが、このグローバル統合認証基盤をさらにモダンな形に洗練させていく考えだ。目黒氏はその構想を次のように話す。

「Kubernetesとコンテナ技術を全面的に採用し、柔軟なリソース増減や耐障害性の強化を含め、ビジネス要求の変化に俊敏に適応できるアーキテクチャーへ進化させていきたいと考えています。こうした環境に対するオブザーバビリティを実現するために、New Relic OneとPrometheusのより強固なインテグレーションに期待しています」

「モダナイゼーションという観点では、Infrastructure as Code(IaC)によるリソースの払い出しや運用自動化を推進しています。まずは、Terraformを利用して、コード化されたNew Relic Oneの設定情報を複数の環境へ展開できる仕組みを整えました」(平山氏)

試行錯誤を繰り返す開発工程では、開発・テスト環境のスクラップ&ビルドがつきものだ。IaCによる自動化は、手作業を排してインフラ準備の効率化・スピード化に大きく寄与する。

「New Relic Oneは高機能なので、まだ私たちが使いこなせていない機能やメトリクスがたくさんあります。New Relicの技術者のサポートを受けながら、プロアクティブなモニタリングを指向して活用レベルを高めていきたいと思っています」(井口氏)

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目黒氏は、OpenTelemetryへの期待を示しながら次のように話した。New RelicはOpenTelemetryへのコミットメントをいち早く表明し、New Relic Oneへの実装を進めている。

「カプコンではデジタルコンテンツ販売を強化しています。この戦略をさらに推進していくには、サーバーアプリケーションの正常性・健全性の維持がより重要なテーマとなることは間違いありません。OpenTelemetryに準拠しながらNew Relic Oneのオブザーバビリティ(可観測性)が進化していくこと、New Relic社がリードする形でOpenTelemetryがより良い業界標準として成熟していくことを期待しています」