SAPオブザーバビリティのパイオニアとして
SAP運用に携わるすべての人に、ストレスのない環境を
那須 隆(なす・たかし)氏
株式会社BeeX
テクニカルアーキテクト
■サーバー監視だけでは、障害対策ができなかった
― いつごろ、どのようなきっかけでオブザーバビリティと出会われたのでしょうか。
オブザーバビリティという言葉は認識していませんでしたが、その概念と出会ったのは2021年の夏、New Relicに入社する直前です。当時は、ウェブサービスの運用業務を担当しており、ユーザーから寄せられる障害の問い合わせに対応していました。ただ、常に監視していたサーバーの状況は、障害が発生するほど負荷が高いことはほとんどなく、原因を特定して解決するまでに至っていませんでした。
こうした状況が続いたことから、何とか問題を解決したいと考え、いろいろと調査してわかったのが、死活監視やパフォーマンス監視だけでなく、様々なログを見ること。実際に見てみると、発生しているエラーを確認することができました。しかしながら、状況がわかっても問題の解決方法がわからない。そこで再度調査を行い、サーバーだけではなく、ユーザー画面などアプリケーション側まで幅広く見ることの必要性に気付いたのです。これがきっかけとなり、オブザーバビリティの世界へ足を踏み入れることになりました。
■いま取り組めばSAPオブザーバビリティのパイオニアになれる
― オブザーバビリティに対して、どのような想いを持たれたのでしょうか。
運用環境を劇的に向上させるソリューションだと思いました。そこで、オブザーバビリティの導入に向けて知識習得と情報収集に努めているとき、New Relicが人材を募集していることを知ったのです。話を聞きに行き、「オブザーバビリティの活用で、多くの人たちが求めている理想の運用環境ができる。これを日本中へ広めていきたい」という想いに触れ、共感したことから、New Relicに入社。さまざまなお客様の課題を伺い、社内チームと連携してソリューションを具体化していくことでオブザーバビリティへの理解が深まり、課題解決のお手伝いを数多く経験しました。
こうした経験を重ねる 中で気になったのが、BeeXでも関わる機会が多かったSAPとの連携です。「New RelicをSAPの運用に応用すれば、より快適な環境が構築できる」と、感じたのです。ところが、国内外の文献を調べても、New Relicどころかオブザーバビリティ自体をSAPの運用に活用した事例はほとんど見つけることができませんでした。
「いま取り組めば、SAPオブザーバビリティのパイオニアになれる!」
こう考えると、ワクワクしてきました。誰もやっていないことへチャレンジできることに、やりがいと魅力を感じました。そこでBeeXへ再入社し、SAPオブザーバビリティという全く新しいサービスを世の中へ届ける取り組みをスタートさせました。
■SAPオブザーバビリティサービスを開発し、提供を開始
―具体的には、どのような取り組みを進められたのでしょうか。
まずは、SAPの運用にNew Relicを活用したオブザーバビリティサービスの開発。さらに、社内エンジニアのオブザーバビリティに対する関心と理解を高める活動。この2つを、同時並行で進めました。
SAPの運用に関してBeeXは、従来からインフラを対象とした監視サービスを提供しています。これにより、サーバーやデータベースなどで発生した障害にはスピーディに対応できるものの、SAPのシステムに関連する問題の対応には原因の特定まで長い時間を要しています。ここにソリューションを提供するのが、New Relicを活用したオブザーバビリティサービスです。インフラとともにSAPも監視することで、状況を常に把握。問題が発生した場合は事象の分析と調査を迅速に行い、短時間で原因を特定して改善策を計画・実行します。この開発は順調に進み、2023年3月に「SAPオブザーバビリティサービス」として提供を開始。多くのお客様に導入していただけるよう、新サービスのメリットをアピールする活動を行っています。
社内エンジニアに向けては、全社ミーティングや社内チャットなどで、オブザーバビリティをテーマにした話題を提供。オブザーバビリティに対する理解が、次第に高まっていることを実感しています。
■サービス提供開始日から問い合わせが発生
―これまでで印象に残っていることをお聞かせください。
一番は、「SAPオブザーバビリティサービス」の提供開始をリリースした当日に、製造業のお客様からお問い合わせをいただいたことです。このお客様は、SAPジョブで発生する課題解決の方法として、オブザーバビリティが有効ではないかと以前から考えられており、まさに思い描いていたサービスだったことから、ご連絡をいただけたということです。SAPジョブは、さまざまな要素が複雑に絡むことから、問題が発生したときの対処法は簡単ではありません。そのため、多くのお客様からお問い合わせをいただいており、SAPジョブに特化したコンサルティングの検討も進めています。
また、SAPではユーザーがアドオンプログラムを追加することも多くありますが、一般的な監視ツールでは、その状況を可視化することは困難です。その点、「SAPオブザーバビリティサービス」はNew Relicを活用したことで、アドオン機能の状況も簡単な設定で可視化できます。この機能についても、多くのお客様から興味を持っていただいています。
こうした特徴から、「SAPオブザーバビリティサービス」導入に向けてのPoCが数社で進んでおり、次々に正式導入が決定することを期待しています。
■「SAPオブザーバビリティサービス」の価値を証明する
―オブザーバビリティに対する今後の展望を教えていただけますか。
「SAPオブザーバビリティサービス」が、SAP運用に必要不可欠であることを証明したいですね。インフラだけの監視、一般的な監視ツールの使用だけでは、解決できない困りごとがたくさんあります。SAPの運用で困り果て、悩み続けているお客様を、もう目にしたくはないのです。
New Relicをうまく活用した「SAPオブザーバビリティサービス」を導入すれば、さまざまな問題を解決するための道筋がはっきり見えることを、いち早く伝えていきたいと思います。特に、SAPジョブとアドオンへの対応は、日本市場で大きなインパクトがあると考えています。こうしたサービスの実力を知ってもらうことが、ファーストステップ、最初に叶えたいことです。サービスの存在を知り、効果が理解できれば、多くの方は使ってみたいと思うはずですから、お問い合わせをいただき、具体的な解決策を提案したいと考えています。
また、「SAPオブザーバビリティサービス」の存在を知っていただくために必要なことは、BeeXという会社自体を知ってもらうことだと感じています。そこでいま取り組んでいるのが、さまざまなイベントやセミナーへ積極的に参加し、独自のサービスやソリューションの紹介を通じて知名度を高めることです。この活動は、今後も引き続き行っていこうと考えています。
■SAPオブザーバビリティの有効性を高め、広げていく
―ご自身のキャリアとしては、どのような展望をお持ちでしょうか。
SAPオブザーバビリティのパイオニアとして、その有効性を広げる活動を積極的に行っていたいと考えています。さまざまな文献に目を通していますが、SAPの運用にNew Relicを活用した事例は、日本語でも英語でも目にしたことは、まだ一度もありません。第一人者としての面白味とやりがいを感じながら、引き続きNew Relicとの連携を深め、イベントやブログなどで、オープンにできる情報はすべて公開し、有効なツールや技術、環境の導入で、SAP運用に携わるすべての人がストレスなく仕事できる環境を増やしていきたいと考えています。
また、私と一緒にSAPオブザーバビリティの有効性を高め、広げてくれるエンジニアの育成にも注力したいと思っています。
■お客様が理想とするSAPの運用環境を実現します
―最後に、読んでいただいた方へのメッセージをお願いします。
BeeXは、AWSやAzure、Google Cloudなど、クラウドに強みを持つ企業です。その中で私が主に携わっているSAPに関しては、新規構築から運用、移行など、さまざまなニーズに対応し、幅広い知識とノウハウを蓄積しています。業界に先駆けて、SAPにNew Relicを応用したオブザーバビリティサービスが提供できたのも、こうした豊富な蓄積があったからです。
SAPの運用に関して、安定性を向上したい、障害対応を強化したい、パフォーマンスを高めたい、コストを最適化したい、最適な環境でストレスなく活用したいといったニーズがあれば、New Relicを応用した「SAPオブザーバビリティサービス」で最適なソリューションが提供できます。ぜひ、お気軽にご相談ください。